産業廃棄物処理についてのお知らせ・コラム

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2019.11.14

マニフェストの発行は代行してもらってもいいの?

先日お客様より「マニフェストの発行は、排出事業者じゃなくてもいいの?」という質問をいただきました。
保管場所と事務所が離れていて、管理担当者が回収時に現場に向かうのが負担とのこと…。
この場合、“マニフェスト作成”というよりは、廃棄物と同時にA票以降を引き渡す“交付の作業”を指していると思われます。

今回は、マニフェストの発行について、どこまで自社でやらなければならないのかを解説していきます。

マニフェストの作成は代行可能だが…?

前提として、マニフェストを発行する際には、大きく分けて2つの作業が必要です。

① 必要事項を事前に記入する作業
② 実際の回収が行われた際に、マニフェスト記載の内容と間違いが無いことを確認し、『交付担当者欄』に署名、B票以降を運搬業者に渡す作業

一般的に、①を「作成」、②を「交付」と呼ぶことが多く、「発行」は①と②を合わせた一連の作業というイメージです。


まず、「作成」に関しては、(推奨はされていませんが)法律上、明確に禁止されていません。そのため、代行可能という解釈もできます。もちろん、マニフェストの発行は本来、排出事業者が責任を持ってするものですから、作成も排出事業者が行うものです。

しかし、サイン以外の項目の記入は委託する処理業者に任せて、サインのみ排出事業者がするということであれば違法とは言い切れません。法律で発行が義務付けられている文書は、一般的に「署名」の人物が内容の責任を負います。

例えば、産業廃棄物処理業者の許可証を見てみましょう。許可証は各都道府県知事の名義で交付します。東京都の許可であれば、現在は小池百合子都知事の名前が記載されています。
だからといって、知事が許可申請書を詳細にチェックして、自ら許可証を作成していると考える方はいらっしゃらないと思います。職員の方々が作成した内容を承認しているのです。

同様に、誰かにマニフェストを作成してもらうこと自体は禁止されていません。
しかし、サインをした以上、マニフェストに記載された内容に責任を持つということになります。
内容に誤りがあった場合には、実際に誰が作成したかよりも「交付担当者」欄の人物に責任が問われます。
サイン以外の記入は収集運搬業者などに代行依頼している排出事業者も多いようですが、内容をしっかりと確認していないケースも多いです。
作成代行そのものは違法とは言い切れないものですが、内容のチェックを怠るとリスクが大きいことには注意しましょう。

マニフェスト交付の代行はあり?

続いて、「交付」の代行について考えていきます。
冒頭の質問は、こちらがメインの内容でした。交付まで代行できれば、必ずしも回収時に担当者が立ち会わなくても良いので負担は減ります。

紙マニフェストには「交付担当者」欄にサインをする必要があります。
そのため、「マニフェスト交付」=「立ち会いが必要」と思われていませんでしょうか?

しかし、そもそも回収の立ち合いは法律的に必要なのでしょうか?
実は、廃棄物処理法には、廃棄物の回収時立ち合いに関することは記載されていません。
立ち合いは法律上の義務ではなく、マニフェストの交付があるから行われているということです。
紙マニフェストの場合は、廃棄物を引き渡すと同時にマニフェストを交付する必要があります。そのため、自然に紙マニフェストの場合は立ち合いが行われます。

では、サインを事前にしておいた場合はどうでしょうか?
「交付担当者欄」もすべて含めて、必要事項をすべて記入したマニフェストを、事前に収集運搬業者に渡しておいたり、回収場所に常備したりしておく、又は作成代行の時点で「交付担当者欄」まで記載されたマニフェストを作ってもらうなどの方法です。
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事前に準備することで、現場でのサインを必要とせず、収集運搬業者にセルフサービスでお願いすることになります。これを実際に行っているケースもあるようです。

しかし、サイン自体の代行は私個人としては、さすがに過剰な依頼である気がします。
繰り返しになりますが、「交付担当者欄」のサインには、『実際に回収された廃棄物とマニフェストの内容と相違が無いことを確認しました』という責任を持つ意味があります。

マニフェストの内容も、実際の回収内容との照合も、どちらも確認せずに責任だけ負うとなれば、「できれば自分の名前は使いたくない…」というのが本音ではないでしょうか?リスクが大きく、あまり推奨できない方法です。

電子マニフェストの場合は??

電子マニフェストの場合は、少しだけ事情が異なります。
電子マニフェストの場合は、3日ルールが適用され、交付は廃棄物の引き渡しと同時ではなくともOKです。
3日ルールとは簡単に言うと、電子マニフェストの場合は情報処理センターへの登録(紙マニフェストの交付に該当)を、廃棄物を引き渡してから3日以内に行えば良いということです。3日ルールについて詳細はこちら

そのため、マニフェスト交付のために立ち会う必要性がなくなります。
立ち合い自体も法的には必須ではないので、法的な義務レベルでの立ち会いは不要と言えます。

マニフェストの代行はどこまでOK?

マニフェストの作成を代行すること自体は、法律で禁止されているわけではありません。しかし、交付時には交付担当者欄のサインまで代行し、回収現場の立ち会いまで省いてしまうと、リスクが大きいことがわかりました。
また、電子マニフェストの場合は3日ルール適用のため、交付時に必ずしも立ち会わなければいけないということもありません。
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ここまで整理すると、改めて皆さんの「代行」に関するお考えはいかがでしょうか?

突き詰めて考えれば、マニフェスト発行業務のほとんどを代行しても、明確な違反にはなりませんが、代行の割合を多くすればするほど、リスクも大きくなります。
代行で発行されたマニフェストの内容を、事細かにチェックできれば、ある程度リスクも押さえられます。しかし、それでは本末転倒…確認業務が多くなり、効率化は遠のいていきます。

結局は自社で作成・交付し、間違いのない適切なマニフェスト管理ができるようにすることが、最適であることは間違いありません。
様々な状況から、どうしても自前運用が難しい場合のみ、リスクを理解した上で代行の選択肢も上手に活用するのが現実的なところかと思います。 例えば以下のようなものです。

・作成を代行した場合には、内容の確認が効率的に行える手順を整備しておく。
・廃棄物担当者が回収時に立ち会えない場合は、回収場所に近い仕事場の従業員に立ち会いだけしてもらう。ドライバーに回収時点の廃棄物写真を撮るようにお願いしておく。

完璧でなかったとしても、ある程度リスクを低減するための施策とセットで運用することをお勧めします。

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