産業廃棄物処理についてのお知らせ・コラム

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2016.09.03

軽微な書類のミスは罰則にならないの?~意外と知らない直罰と間接罰を解説~

排出企業の方からご相談をいただき、お話をお聞きする中で、お話を聞く中で厳密に見ると法律違反に当たる管理状況を発見することが多くあります。(こうしたことは、なんとほとんどの企業様であることなのです)そんな時には、お役に立てるように「この部分の運用を~に変えてください」「契約書の雛形のこの部分を編集してください」等、法律違反にならないようにする具体的なアドバイスをさせていただいています。

ただ、その中で一定数”現状維持”を選択される方がいらっしゃいます。その理由は、

「すぐに罰則ということにはならないでしょ?」
「小さなことだから、行政に注意されてから直しても遅くないと思うんだけど」
「今まで大丈夫だったし、これからもこのままで…」

というものがほとんどです。

実務を変えるには大きな負担がかかります。行動を起こすにあたって「些細な法律違反で罰則につながるのか?」という部分が気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

今回はそのあたりを詳しく解説していきます。

直罰と間接罰とは?

違いはすぐに罰則が下るかどうか

「法律違反があったときに、すぐに罰則が下るのか」という質問に回答するのなら「直罰に当たる違反内容であれば罰せられる」です。

罰則には直罰(または直接罰)と間接罰という概念があります。(法で明確に定められた用語ではなく、世間一般で使用されている用語です。)

直罰とは違法行為に対して即時に適用される罰則と言われています。対して間接罰とは、違法行為に対して、まず行政指導や行政命令を行い、その指導・命令に違反する行為があった場合に、それを理由として適用される罰則の事を指しています。。

法律の罰則規定を読むと「~した者、~しなかった者」と書かれているのが直罰、「~の規定による命令に違反した物」といった表記をされているのが間接罰と考えて頂くと分かりやすいと思います。

直罰だったら発覚した時点でアウトだけど、間接罰だったら指導や命令に従えばOKということでしょうか?

では、廃掃法において排出事業者を対象とした直罰と間接罰にはどんなものがあるのか見てみましょう。

直接罰間接罰

ほとんどが直罰。その理由は?

「直罰ばっかりじゃあないか!?」と皆さんお思いでしょう。しかし、事実です。

直罰、間接罰のどちらを適用するのかという判断基準は色々あります。直罰を適用する理由の一つに「命令の履行が容易であるがゆえに違反が再発してしまう場合」ということがあるようです。すぐに直せるような小さなことを間接罰にしていたら、罰としての意味がないということですね。「小さなことだから言われたら直そう」と思っていた方は、既にその思考をバッチリ先読みされているのです。

委託契約書やマニフェスト等、書類関係の不備は、保管基準のように「これから改善する」ということができません。既に違反となる書面を発行してしまっていて、違反の事実を過去に遡って消すことはできないからです。

それでは違反のある書類を破棄して、代わりに適法な書類を作り直せば全て解決するかというとそうではありません。違反書類であったとしても、破棄したら「保存義務違反」です。

なので、違反が発覚した時点で、罰則ということになっているのでしょう。

不法投棄等の重大違反も直罰

また、「違反による実害リスクが高いと認識される場合」も直罰になるので、当然不法投棄を始めとした重大違反も直罰です。

ちなみに、上記表中の「第十九条の五第一項又は第十九条の六第一項の規定による命令に違反した者」の”規定”とは、不法投棄等が起こった際に、一定の条件の下、排出事業者に撤去や撤去費用の負担を命令することができるというものです。これらの命令に違反した者が、間接罰の対象です。

第十九条の五第一項又は第十九条の六第一項の規定の詳細は、以下をご参照ください。
排出事業者が気を抜けない理由として、解説しています。

 

● 第十九条の五第一項
19条5項 措置命令の対象
● 第十九条の六第一項
19条6項 措置命令の対象の条件

そんなに罰則って聞かないけど…

「でも、細かい書類のミスで罰則ってあんまり聞かないけど…」と思われるかもしれません。私の個人的見解ですが、その理由は2つあります。

理由1:そもそも見つかることが少ない。

細かな違反は、日常的にチェックされることはあまりありません。

行政の担当官に契約書やマニフェストのじっくりと事細かに見られた経験がある方はそう多くないでしょう。保管基準のように一目見て違反がわかるような部分には、定期的な立ち入りで発覚することはありますが、事細かな書類を一つ一つひも解いていくだけのマンパワーは行政にもありません。

理由2:見つかっても告発まで至らない

違反に対して刑事罰を下すには…

事実認定を元に刑事告発

逮捕若しくは書類送検

起訴

裁判

刑確定(略式起訴として裁判を省略する場合有)

というステップを踏む必要があります。なかなか大変な道のりです。なので、本当に軽微な違反に関しては、行政担当官が発見しても、非公式な口頭注意で済ませる可能性があります。温情というやつです。

ただ1、2共に、ご自身にリスクが無いと言い切る理由としては弱いと思います。

1については、委託先が不法投棄した場合などは、行政は委託元など関連する事業者に立ち入りをして、書類まで事細かに確認しますから日常ではチェックされない細かな違反だからと言って絶対に見つからないとは言えません。

2に関しても、あくまで告発するかどうかは管轄行政の判断なので、その気になればマニフェスト1枚に不備があっただけでも告発される場合があります。実際、過去には保存期限を待たずにマニフェストを廃棄したとして書類送検された事例もあります。

● マニフェストの保存義務違反で摘発 書類送検
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※ 画像はクリックで拡大できます。こうした事情を考えると、違反行為は事前に改善しておくに越したことはないと思うのですが、皆さんはいかがですか?

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