産業廃棄物処理についてのお知らせ・コラム

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2018.10.30

特定有害産業廃棄物を判断する3つの基準【チャートで分かる】

皆さんは具体的にどのようなものが『特定有害産業廃棄物』になるのかご存知でしょうか。

日々様々な排出事業者様とお話をさせていただくと、特定有害産業廃棄物は「産業廃棄物の中に、特定有害物質が基準値を超えて含まれているもの」と思われている方が多く見受けられます。

しかし、特定有害物質が含まれているからと言って、必ずしも特定有害産業廃棄物に該当するわけではありません。

今一度、特定有害産業廃棄物について整理していきましょう、

特定有害産業廃棄物とは?

特定有害物質の種類

特定有害産業廃棄物とは、特別管理産業廃棄物のうち、特に有害性の高い物質、またはそれらを含む廃棄物を指します。
引火点の低い廃油、腐食性の高い廃酸、廃アルカリなどとは別に、「有害物質」が含まれることによって特管に該当します。

日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)にて、特定有害産業廃棄物の規定がされており、下記の表に含まれる物質が該当してきます。


引用:▲JWセンター『産廃知識 廃棄物の分類と産業廃棄物の種類等

特定有害産業廃棄物には、PCBや石綿なども含まれますが、今回注目するのは「有害産業廃棄物」という項目です。
ここでは、水銀、セレン、六価クロム、鉛、カドミウム、砒素、シアン等々、有害物質の種類を細かく指定しています。

業種や発生施設の組み合わせも判断基準

◆業種・施設の指定がない特定有害産業廃棄物は鉱さいのみ
しかし、上記の物質が入っているからといって『特定有害産業廃棄物である』とは言い切れません。
冒頭でもお伝えしたように、表内の物質が基準値を超えているからといって特定有害産業廃棄物ではないのです。
表中には記載がありませんが、実は有害産業廃棄物のうち「汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、燃えがら、ばいじん」は、業種や発生施設などの組み合わせによって該当するかどうかが決まります。

裏を返せば、業種や施設などの基準がないものは「鉱さい」のみということが言えます。
鉱さいについては、特定有害物質が基準値以上含まれている時点で特定有害産業廃棄物と判断できます。

では、鉱さい以外では何が判断基準になるのでしょうか。

特定有害産業廃棄物を判断する3つの基準

特定有害産業廃棄物の判断項目の一覧

特定有害産業廃棄物についての判断基準に必要な項目をまとめると大きく3つです。

①:該当業種から排出されている
②:該当する種類・規模の特定施設から排出されている。
③:1,2の組み合わせ毎に指定される特定有害物質が基準を超えている。(業種・施設によって、対象とならない物質もあります)

詳細情報は下記に詳しく記載されています。

◆何の業種・施設から排出されているのか、どの物質が該当するのか(基準①②)
ばいじん・燃え殻
廃油(廃溶剤に限る)
汚泥・廃酸・廃アルカリ
引用:『環境省 特別管理廃棄物規制の概要

◆基準値を超えているのか?(基準③)
基準値の判定基準
引用:環境省 『特別管理産業廃棄物の判定基準(廃棄物処理法施行規則第1条の2)』

上記の条件をすべて満たすものが『特定有害産業廃棄物』となります。

特定有害産業廃棄物の判断チャート

また、特定有害産業廃棄物と普通産業廃棄物の判断基準を分かりやすくチャートにまとめたので、ご参照ください。

以上の判断要素をすべて満たして初めて、特定有害産業廃棄物に該当します。
もし該当しない場合、あくまで法律上の基準としては普通産業廃棄物ということになります。

判断基準が該当しなかったら全て普通産廃でいいの?

実務上は特定有害産業廃棄物として処理する

では、例えば「シアンの基準値が数倍である汚泥」が指定業種・施設以外から発生する場合、普通産廃として処理ができるという事でしょうか?
直感的にも「それはちょっと…」と思われる方が大半だと思います。

実務上は、「有害物質含有の廃棄物を普通産廃処理できるところなんてなかなか見つからない」、「行政に相談しても、特定有害としての処理を勧められる」というのが実態ではないでしょうか。
つまり、実務上では特定有害を含んでいる産業廃棄物は、特定有害産業廃棄物として処理していることが多いのです。

厳密には該当しない廃棄物も特定有害扱いとする例は多く、そちらが安全だとも思います。ただし、厳密論では普通産廃なので、行政に相談し理解を得ながら特管扱いで処理を進めるなどの対策がベターです。

最終的なアクションは同じでも、そこに至る経緯を知っておくと、ワンランク上のリスク管理ができるかもしれません。

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